病気を治す治療とは別で、「治すことを目的とするのではなく、病気による痛みや苦痛を和らげることで、患者を支え、患者が過ごす時間をできるだけよくする(Quality of lifeを高める)ことを目的とした治療」のことを緩和ケアといいます。
病気はなにも末期だけが辛いわけではありません。病気とはじめて診断されたとき、治療が始まるとき、治療の最中、治療をやめようと伝えられたとき、など様々な場面で辛い気持ちを感じることがあるでしょう。緩和ケアは末期の患者だけが受けるものではありません。もし痛みや苦痛を感じたときがあるなら、その時が緩和ケアを必要とするときで受けることができる時です。原則的に、緩和ケアは病気を治す治療と並行しておこなわれるものとされています。
緩和ケアは、薬を投与するだけではありません、お話を聞くこと、相談にのること、身体の痛みだけでなく心の苦しみ、精的、霊的な部分についてもサポートするものです。
ふるかわ医院では、緩和ケアを希望される患者さまに対して、訪問診療(在宅緩和ケア)をおこなっています。在宅緩和ケアを受けられるのは、主に末期癌の方ですが、現在治療中の方や他院に通院中の方であっても受けることは可能です。
たとえば、大学病院で化学療法を受けている方や、自費診療で免疫治療などを受けられている方でもかまいません。また、まだ医師から末期と告げられたわけではない方でもかまいません。もちろん、末期と告げられた方ならばすぐにでもご連絡ください。
末梢皮下点滴をおこなう場合はありますが、末梢静脈点滴は必要時以外にはおこないません。
「病気などで差し迫った局面に陥っている患者やその家族の生活の質(Quality of life)を改善するためのアプローチのことで、痛みのみならず身体的、心理社会的、スピリチュアルなどの様々な問題を早期発見、早期治療することで、すべての苦痛を取り除くこと」です。その定義には末期や終末期という言葉は出てきません。
1950年ころから欧米で提唱された考え方ですが、ターミナルという言葉が終末期(人生の最期)を指し癌やエイズを対象にしているように感じさせるため、現在では終末期を表す言葉としてはエンドオブライフ・ケアのほうがよく用いられます。
エンドオブライフ・ケアは癌だけでなく認知症や脳卒中など幅広い高齢者医療も含むものとなっています。
ホスピスは、中世ヨーロッパにあった「休息の場」のことで、ラテン語のhospitiumが語源とされています。イギリスのホスピスでは1960年代ころから実践されていたもので、全人的ケア、全人的アプローチを中心としたホスピス・ケアが提唱されています。
みなさんは、自分の将来、それも遠い遠い最期を迎えるときのことを考えたことがありますか?
最期を迎えるとき、というのは、若い人には遠すぎるし、たとえば100歳近い年の人や治療できない不治の病にかかっている人には差し迫りすぎているかもしれません。海外の研究報告では、実に7割の方が最期の時が近づいたときに自分の意思を伝えることが不可能になるとされており、自分自身の望む最期が迎えられない可能性があります。
昔はそうではなかったかもしれませんが、今の世の中では「その人らしさ」がとても大切で、自分の病気のこと、この後どうなっていくのか、そういったことを医療者と十分話し合って知った上で、自分がどうするのかを自分で決めたい、そんな考えを持つ人が多くなっています。
そういった人たちの希望を叶えるために、アメリカでは1990年ころからアドバンスケアプラニング(ACP)という概念が生まれてきました。ACPとは「病を患った患者が、いつか自分の希望が伝えられなくなったときのために、家族や医療者などとあらかじめ自分の病気のことをよく話し合い、自分の考えを共有してもらうこと」です。
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